학술논문

The trait‐mediated trade‐off between growth and survival depends on tree sizes and environmental conditions.
Document Type
Article
Source
Journal of Ecology. Aug2023, Vol. 111 Issue 8, p1777-1793. 17p.
Subject
*TREE growth
*TREE size
*LIFE history theory
*TEMPERATE rain forests
*FOREST dynamics
WOOD density
Language
ISSN
0022-0477
Abstract
要旨: 成長と生存の種間関係は森林の樹木種多様性維持機構における重要な決定要因の一つである。共存樹種における成長と生存のトレード・オフは種の生活史戦略の変異軸に沿って生じると考えられる。例えば、共存する樹種には、資源が乏しい環境下で成長は遅いが生存率が高い種から、資源が豊富な環境下で成長は早いが生存率が低い種まで、様々な種が存在する。しかし、成長と生存のトレード・オフの関係が、種形質、樹木の個体サイズ、環境条件とどのように関連しているかについては未解明である。そこで、屋久島の暖温帯雨林における23年間の成長・生存記録に基づき、45種の共存樹種において、樹木の個体サイズや気候条件(強風の頻度、乾燥強度)の違いによって、種形質と成長・生存との関係性がどのように変化するかを検討した。葉の形質、材密度、最大サイズといった種形質を説明変数として、相対成長率および生存率の階層ベイズモデルを作成した。また、形質をもとに推定した成長・生存の関係と、5つのセンサス期間の気候イベントの強さとの関係を検証した。各形質が種間の成長―生存関係に及ぼす効果は、気候条件に応じて5つのセンサス期間で異なっていた。葉形質や材密度に影響される成長―生存関係は負になる傾向があった。一方、最大サイズに影響される成長―生存関係は正の傾向を示した。これらの傾向は、強風の頻度が高い期間ほど、あるいは乾燥が強い期間ほど多くみられた。このような成長―生存関係に対する単一形質の効果は、樹木の個体サイズが小さい時により強くなった。解析に用いたすべての種形質の複合的な効果を考慮した場合、5つのセンサス期間のうち3つの期間において、個体サイズが小さい時のみ、成長と生存のトレード・オフ関係が有意であった。本研究の結果により、共存する樹種間の種形質が成長―生存関係に及ぼす影響は、樹木の個体サイズや気候イベントの頻度や強度、またはその両方に左右されることが示された。森林の動態を予測するためには、樹木センサスの長期データに環境条件の空間的・時間的変動を取り入れることが重要である。 [ABSTRACT FROM AUTHOR]